たばこをやめる9ステップ

健康

わたしが禁煙して2年ほど経つので、暫定の禁煙成功者として、やめた経緯やステップをご紹介しようと思います。禁煙外来をおすすめする記事ですが、禁煙外来でもうまくいかないという方をよく耳にするので、禁煙外来を受ける予定の方もざっと目を通していただければと思います。

こんなあなたに読んでほしい

他人に迷惑をかけることなく楽しんでいる人にとやかく言うつもりはありません。「特に吸い続けたいという強い意志があるわけでもない」とか「本当に禁煙したくて、自分に合う方法を探している」という方の選択肢になれば幸いです。

喫煙し続けるデメリット

わたしにとっての喫煙デメリットは以下のようなものでした。
・年齢とともに健康を害する心配が増えてくる。
・周囲の健康も害する(という目で見られる)。
・髪や服に付く匂い、吸い殻の匂いがくさい。
・吸えない場所や時間が多いとイライラする。
・「まだ吸ってるの?(時代遅れと言わんばかりに)」と言われる。

禁煙のメリット

喫煙のデメリットの裏返しが禁煙のメリットになります。
・たばこで健康を害する心配がなくなる。
・周囲の人への迷惑を気にしなくてよい。
・たばこ臭の問題から解放される。
・禁煙場所や移動時間も気にならなくなる。
・禁煙してえらいという目で見られる。
・昔の喫煙仲間に「いいなぁ」と羨ましがられる。(「やめるなんて意志の弱い奴めw」とお決まりのセリフを言う人もいる)
禁煙して2年ほどたった今、禁煙によるデメリットは感じていません。

わたしの背中を押した、禁煙のきっかけ

最終的に禁煙したきっかけは、職場の席替えでお隣になった方に喘息の持病があったことでした。

お隣の方からはクレームというわけではなく、とても丁寧に相談というかたちで声をかけてくれました。喫煙所で付けてくる副流煙の影響なのか、わたしが戻った直後にその方の咳が出るので真横じゃない席に調整してくれますか?という要望でした。

当時のわたしは加熱式たばこを使用しており、それ自体の影響は見られなかったので席替えは保留いただき、しばらくは混雑した喫煙所や喫煙者が多いランチを避けることで、衣服にまとう副流煙を減らすことで対応していました。

しかし、その対応をしているうちに「そこまでして自分はたばこを吸いたいのか?」という疑問が湧き上がってきました。加熱式たばこは吸えるけど人の煙が少ない(=人が少ない≒人気がない)ランチを探し、休憩時間は喫煙所に先客がいれば出直して吸う。とても面倒くさい。一旦そういうモードに入ると、なんだか喫煙に対するストレスが次々と出てきたのです。

そもそも
・移動や休憩時間の直前•直後に他人の煙で燻製のようになりながら必死に吸う自分が嫌。
・妻が行きたいという飲食店で、何よりもまず喫煙可能かどうかを確認してしまう自分が嫌。
・たばこで心地よいと感じてる時間より、吸えないストレスを感じている時間のほうが長いのが嫌。
・いろいろ苦労して吸うのに、2本目以降は1本目ほどの満足感を感じないのが嫌。
などなど。

そう、別れる直前の恋人の悪いところばかりが見える状態です。

「こんなに苦労してお前との時間を割いているのに、お前から得られるものは何だ!?お前と過ごした後はみんなに臭いって言われるし、これからもお前と付き合うと思うと健康もちょっと心配になってきたし、すごくおいしく感じる時も確かにあるけどそうでもないときも結構あるし!」ということで、たばことの別れを決めました。急に擬人化しましたが、気分的にはそんな感じです。

たばこをやめる9ステップ

最低限のステップとしては4ステップ(4〜7)でも大丈夫かもしれませんが、「(推奨)」と書いたステップも個人的には意味があったように思うのでぜひ参考までに目を通してみてくださいね。早く禁煙することよりも、確実に禁煙することやストレスなく禁煙することを目標にご参照ください。

1.推奨:オーガニックのたばこにする。

「最近なんだか、地球環境や体のことを考えちゃってね…」とか話しながらオーガーニックに切り替えてみてください。冗談のようだけど、少し体のことや周囲に意識が向いて禁煙へのスイッチがほんのり入る気がするものです。

添加物がないと謳っているたばこもありますが、個人的にはそこに過度な期待はしてませんでした。あくまでも気分の問題と、やめるまでの途中経過です。

周りの人は「たばこ吸っててオーガニックって…」と眉をひそめるかもしれませんが、あなたの意識は少し健康方向に向かっているはずです。ステップ1に進む心構えができるまでの期間はオーガニックでお過ごしください。

2.推奨:加熱式たばこに切り替える。

通常の火をつけるタイプの紙巻きたばこを吸っている人は、加熱式たばこへ切り替えることをおすすめします。

加熱式たばこが人体に与える影響はまだ議論の段階かと思うので断定することはあまり言えませんが、少なくとも周囲に与える匂いの影響はかなり少なくなると思います。

3.推奨:通常のたばこを吸わない。

加熱式たばこに切り替えたときに、通常のたばこを吸わない(併用しない)ことをお勧めします。

通常のたばこ(着火タイプ)は器具をそろえる必要もなく、手軽に再開できるので、禁煙を始めた後に少しでも距離を遠ざけるために加熱式たばこにシフトしておいてください。

4.★必須:禁煙の理由を整理する

誰かのための禁煙って割とモチベーションになるのでおすすめです。家族や身近な人のためという目的があると、喫煙を踏みとどまるくさびになると思います。もちろん自分自身のためでもよいと思いますが。客観的に応援したくなるような理由が見つかればよいなと。

ちなみにわたしの場合は職場のお隣さんの喘息が原因でしたが、お隣さんには禁煙の話はしていないです。直接その話をすると恩着せがましい気もしますし(わたしだったら「今の時代、吸う人が少数派だけどな」と思いそうなので)、むしろきっかけをくれたことに感謝しているのですが、心のうちに秘めておこうかと。

ちなみに、わたしはあまり大声で周囲に禁煙宣言することを勧めないです。周りの監視の視線やプレッシャーを必要以上に感じてしまって、自然体でたばこと距離を置くことができなくなりそうなので。できるだけ自然に別れるために、感傷的になることなくそっと距離を置くことをお勧めします。

5.★必須:禁煙外来に行く。

わたしの場合はチャンピックスというお薬で禁煙しました(https://www.kotoni-medical.com/medical-column/champix/)。成功率65%超らしいですが、9ステップで少しでも成功率が上がることを祈っています。

初めの2週間はこのスターターキットで、その後は追加の薬をもらいながら合計3ヵ月程度だったと思います。服用8日目からの禁煙なので、気負うことなく、ゆっくりと別れの時を過ごしてください。

失敗して再挑戦しようとすると1年くらい保険適用されないらしいので、一発成功のつもりで臨んでください。3割負担を生かしましょう。

6.★必須:加熱式たばこの器具を売る

禁煙外来が始まったら、加熱式たばこの器具は売りましょう。退路を断ちます。大人なので、買い直そうと思えば買い直せますが、喫煙再開に戻るかもしれない自分に小さなハードルを設けておきましょう。

たばこかすなどはきれいに掃除し、ウェットティッシュなどで消毒して、できれば窓際の自然光でシンプルなベースで撮影すれば、そこそこの値段で売れると思います。

7.★必須:喫煙の誘惑にも備えておく

禁煙外来を終えた後の誘惑にも備えておきましょう。

・カレーやラーメンを食べた直後
・仕事をやり終えた後
・みんなで過ごす楽しいお酒の席
・長い待ち時間
・ハードボイルドに浸りたい時

など、たばこがおいしかった記憶、心地よかった記憶が蘇ることがあると思いますが、数秒で通り過ぎるので、冷静に大人な対処で乗り切ってください。

「備え」と言っても大したことをするわけではありません。吸いたくなったら、炭酸水などで適度に喉への刺激を与えつつ、別れた昔の恋人を思い返すように「確かによい思い出もあるけど、あの頃には戻りたくないんだよ」と遠い目で窓の外の景色でも眺めておいてください。

あなたはもうたばこと別れたのです。確かによい思い出もあったかもしれませんが、今のあなたにとってプラスマイナスでマイナスのほうが多くなっているのです。そしてようやくその縁から解放されたのですから。心を乱すことなく、ただ冷静にたばこに背を向けてください。

今は別れた直後でちょっと感傷的になって「プラスマイナスで言ったら、付き合ってるほうがちょっとプラス多めじゃね?」と勘違いしているだけです。冷静になったら「あの時戻らなくてよかった」と思えるはずです。

8.推奨:別の健康法も試してみる

ちょっとした運動や、食事や睡眠時間の見直し、減塩、甘いものを控えるなど、小さくてもよいのでもうひとつの健康法を禁煙の前後で併走させることをお勧めします。禁煙だけでも、肺や血液が少しずつきれいになっていくと思いますが「折角ランニングもはじめたのに、ここで禁煙やめたらもったいないな」と思えるようなことがたばこを吸おうとする自分をより強く踏みとどめてくれると思います。

悪友でもそうですが、ひとりの悪友やひとつの悪い仲間から抜けただけだとぽっかり心に穴が開きますが、新しくよい友人やグループに出会えるとぽっかり空いた穴をふさいでくれると思います。「もどっちゃダメだよ」と言ってくれるよき友人のような、健康法をもうひとつぜひ。

9.推奨:まわりには「禁煙継続中」と言っておく

わたしは禁煙して2年以上経っていますが、余計なプレッシャーにならないように周囲には「たばこをやめた」とはまだ言ってません。もう吸わない自信もあるのですが、万が一にも吸ってしまうことがあったときに、他人にあまり干渉してほしくないので、あくまでも聞かれることがあれば「禁煙中」と答える程度にとどめています。

わたしの知人で、すぐに禁煙失敗するのになぜか何度も禁煙に挑戦して、そのくせして人の禁煙失敗を察知するのが早くてそのことを喜ぶ人がいるので、禁煙するうえではそういう人と関わりを持ちたくないのです。もし禁煙に失敗しても、人知れず再挑戦し、静かに別れの手続きを断行する予定です。

まとめ:禁煙理由をクリアにして、喫煙するハードルを用意しておく

わたしの場合、直接的な禁煙理由は職場で隣の席になった喘息の方でした。また、喫煙を取り巻く環境が大きく変わり「気軽に吸えない」というストレスが大きくなったこともやめる理由になりました。

今回の記事を書きながら、自分が禁煙するまでの工程を少し振り返ったのですが、禁煙するためのステップが、同時に禁煙を挫折しにくいようにするハードルにもなっていたように思います。

① 禁煙外来は、挫折すると1年経つまで保険適用されないので、1回目で成功させたい気持ちになる。

② 禁煙する理由(たばこが嫌いな理由)を整理していたので、吸いたい気持ちが収まりやすい。

③ 加熱式たばこに慣れたことで、ふつうのたばこのタールの匂いが苦手になった。(元々吸っていた銘柄や個人によって差があると思いますが)

④ 元々17mgのたばこを吸っていたので、加熱式たばこに移行したことで、たばこの満足度が減り「おいしいから吸うもの」ではなく「ニコチンを接種してイライラを抑えるもの」になっていたと思います。

⑤ ちょっと1本吸いたいと思っても、加熱式たばこのキットを買い直すことを考えると面倒臭い。

⑥ 食生活も並行して見直していたので、不健康な暮らしに戻りたくないという気持ちも芽生えました。

「久しぶりに1本吸おうか?」という思いがよぎっても「わざわざ加熱式キットを買い直し」「そんなに満足度が高いわけでもない加熱式たばこを吸い」「定着しかけた健康的な暮らしが崩れるかもしれない」と思うと、もう喫煙生活に戻る気にはなれなくなりました。

そしてもうひとつ、吸えない時間が続くとイライラする「たばこに囚われた状態」から解放された今、あの「囚われの身」に再び戻りたくないという気持ちが芽生えたのも禁煙を続けられている理由かもしれません。

今でも時々、たばこを吸ってしまった夢を見て、夢の中で後悔して、目が覚めてほっとすることがあります。潜在的には吸おうとしている自分がいるのかもしれません。あくまでも暫定的な禁煙成功者なので、これからも喫煙者に戻ってしまわないよう、気負うことなく禁煙を続けたいと思います。

いつかあなたが禁煙したくなったとき、穏やかに、後戻りすることなく禁煙生活を過ごせるよう。その背中をそっと後押しできればさいわいです。

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